寒くなってくると美味しくなる大根。
旬の時期には1本100円くらいで売られることもあり、家計にも優しいお野菜ですよね。
そんな大根の栄養はご存知でしょうか?
シンプルな見た目に反して、この日本の伝統的な野菜には驚くべき栄養価が秘められているんです。
しかも、捨てられがちな大根の葉っぱにも栄養がたっぷり!
この記事では、大根と大根の葉っぱの栄養や、薬膳的に見た大根の効能や得する食べ方など大根の魅力をお伝えしたいと思います!
大根と葉っぱの栄養は?
大根は11月くらいから3月くらいまでの寒い季節が旬の野菜です。
スーパーや農産物市場で手に入る身近な野菜ですが、白い見た目と水分の多さから栄養が無さそうな気もしませんか?しかしそのシンプルな外観に反して、数々の栄養素が豊富に含まれています。
ではどんな栄養があるのか見て行きましょう!
大根の栄養
大根には多くのビタミンCが含まれています。
免疫力向上やガン予防などに役立ちます。
また食物繊維も含まれているため消化を助け、腸内環境を整える効果が期待でき、カリウムは血圧のコントロールに関係します。
そして消化酵素であるジアスターゼ(別名アミラーゼ)も大根の根の部分に多く含んでいる為、消化不良やお腹のハリなどの症状がある時には活用すると良いでしょう。
大根の葉っぱの栄養
大根と同じくビタミンCが含まれますが、葉っぱは捨てられがちです。
しかし、栄養の宝庫であるほうれん草と比べると大根葉の方がビタミンCは5倍、骨や歯の主要構成成分であるカルシウムは5.3倍なんです!
他にも目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、視力を保ったり、抵抗力を強くしたりするビタミンAや、血を作るのに必要な鉄、骨の健康維持において欠かせない役割のビタミンKなどが含まれています。
また、葉っぱには抗酸化物質も豊富に含まれており、細胞の老化を防ぐ効果が期待されます。
こうしてみると葉っぱを今まで捨てていた人は、これだけの栄養も捨てていたということ。
とてももったいないですよね。
大根の薬膳的効能
季節や体調によって食材を選び、組み合わせて料理を作るのが薬膳です。
では薬膳的にはどのような効能があるのか見てみましょう!
薬膳の基本についての説明は薬膳とは?薬膳の基本を知ると一生自分の体に活かしていける!をご覧ください。
体にどういう働きをする?
【涼】・・・マイルドに体を冷やす作用があります。
なので、ほてりやのぼせがある人に向いている食材です。
消炎、解毒作用もあります。
冷え性の人は食べすぎに注意しましょう。
【辛・甘】・・・気の巡りを良くし血行を促進します。
気を補い胃腸の働きを高めます。
【肺・胃】・・・全身に体液を巡らせ、汗で調節し、皮膚を正常に保つ。また外からの病気の侵入を防ぐ。
食物の消化吸収促進。
大根の効能
気の巡りを良くし、胃腸の調子を高めてくれます。
また栄養の部分でもお伝えしたようにジアスターゼという消化酵素を含んでいるため、胃もたれや消化不良、お腹がはるといった不快な症状の改善のサポートもしてくれます。
しかし、ジアスターゼは加熱に弱いので、これらの症状の為に食べるのであれば加熱せず生のままの調理法で食べることをおすすめします。
また体の余分な熱を取り除き、痰を排出したり、喉の痛みや咳などの症状にも効果的です。
そして痰などを排出するということは体の中の要らない物を出すということ。
大根にはデトックス効果があるとされており、その抗酸化作用や食物繊維の働きにより、体内の毒素排出のサポートもしてくれる優秀な食材です。
大根を積極的に食べてほしいタイプは、アトピーなどの炎症により熱感の強い方、太っている方や体に老廃物がたまっているような方、呼吸器症状のある方です。
大根の保存方法と効率的な食べ方
スーパーではほとんどが1本で売っているか半分で売られていることがほとんどだと思います。
一気に全部使うことはよほどでない限りはないと思うので、有効に活用できるような大根の保存法と効率的な食べ方についてお伝えしたいと思います。
大根の保存方法について
1. 選び方:まずは新鮮な大根を選ぶことが大事。
青首の部分が明るい緑色でひげ根の痕が小さく目立たない物。
表面にツヤとハリがあり、しっかりと重みがあるものが良質です。
葉付きを選ぶと葉っぱも利用でき便利です。
2. 下処理:大根を買ってきたらすぐに根と葉っぱに分けてしまいます。
理由は大根の養分を葉っぱが吸収してしまうからです。
葉の付け根を切り落とし、食べやすいサイズにカットし、さっと茹でて冷凍保存しておくと味噌汁や煮物などに緑が足りない時にも使えます。
余談ではありますが、おでんの大根は下茹でしてる人もいるかと思いますが、その下茹でをレンジで事前に加熱しておくことで時短になり味がしみ込みやすくなるのでおすすめです。
3. 保存方法:大根を1本買ってきた場合は新聞紙やキッチンペーパーなどに包みポリ袋などに入れ冷蔵庫の野菜室で保存します。スペースが無い場合は半分に切るなどして全体をラップで包んで冷蔵庫で保存しましょう。一週間ほどが目安です。
使いきれなさそうな場合や煮物などに使う場合は冷凍保存もおすすめです。
大根を使いたいサイズにカットし(おでんの大根なら輪切り、味噌汁ならイチョウ切りなど)フリーザーバッグに入れ冷凍します。
冷凍することによって細胞が壊れ、調理した時に味が染みやすくなるので味を含ませたいおでんや煮物調理の場合はこの方が良いかもしれないです。
調理する時は冷凍のまま煮汁に入れれば大丈夫です。
1か月くらいで使い切るようにしましょう。
大根の効率的な食べ方について
大根がよく食べられる料理と言えば「おでん」がありますが、実はおでんの大根に栄養はほとんどないと言われています。衝撃的すぎますよね。
それはなぜなのか?
それは、大根の主な栄養素であるビタミンCは皮部分に多い事とビタミンCが水溶性なので煮込むと煮汁に流れ出てしまうためです。
おでんの大根は皮をむき、煮込む料理であること、また消化酵素も熱に弱いためこの効果も見込めないという理由からかなり損をしていると言えます。
ではどのような食べ方が一番効率的なのか気になりますよね?
それは生です!詳しく見て行きましょう!
1. 生で皮ごと食べる:大根は生で食べることができる野菜です。
しっかり洗えば皮ごと食べられます。
薄くスライスしてサラダに加えたり、千切りにして生春巻きにすると、ビタミンCや酵素を失うことなく効率よく摂取できます。
一番良いのは皮ごとすりおろすこと。
すりおろした大根としらすを一緒に食べたり、揚げ物や焼き魚やお肉に大根おろしを添えるのも良いでしょう。
すりおろす時は上下や左右の一定方向ですると辛味の強い大根おろしに。
「の」の字を描くようにすると辛味が和らぐので、料理に合わせて使い分けると良いでしょう!
また注意事項として、食べる直前にすって食べるのが鉄則です。
辛味成分であるイソチオシアネートは血液サラサラ効果や、発がん抑制効果などが期待できるのですが15分ほどで半減してしまうので、おろしてすぐに食べるようにするのが損しない食べ方です。
2. 蒸す:大根を蒸すことで、栄養が逃げにくくなります。
蒸し大根は食物繊維やミネラルを保持し、胃腸に優しい調理法になります。
また生で食べると体を冷やしてしまう作用もあるため蒸すことによってその力を和らげることにもなるので酵素は無くなってしまいますが冷え性の方はこの食べ方が良いでしょう。
3. 味噌汁やスープに入れる:大根を味噌汁やスープ、鍋料理に加えると、煮汁に栄養が溶け込みます。酵素の働きは無くなってしまいますが栄養が溶け込んだ汁ごと食べられるので良いでしょう。
また鍋料理も煮汁を利用し、雑炊にしたりすることで汁の栄養も食べられるのでおすすめです。
4. 炒め物:大根の皮や葉っぱといった普段捨ててしまう部分に栄養がたっぷり含まれています。
こういう部分は炒め物などにすると食べやすくなります。
大根の皮は千切りにし、きんぴらに。お弁当のちょっとした隙間を埋められるのでなかなか良いですよ。
そして葉っぱ。
大根葉に多く含まれているビタミンAは脂溶性です。
そのままでは10%程しか吸収できないので油と一緒に炒めることで吸収力が上がります。
大根の皮きんぴらにしても良いですし、私はよくちりめんじゃこと一緒に炒めてご飯のお供や混ぜご飯として食べています。
5. 番外編:生の大根をジューサーやミキサーで処理してジュースやスムージーにすると、飲みやすく、生の栄養を効果的に摂取できます。
また大根おろしを使う時にどうしても余分な汁は絞って使うことがあります。
そんな時も汁も捨てないで活用して下さい。
大根おろしで不要になった汁に蜂蜜を混ぜて飲むと喉の痛みや風邪予防にも効果的です。
子供の頃、近所に住んでいた韓国の方と交流があったのですが、私が風邪気味で喉が痛かった時にこの韓国の方がペットボトルいっぱいに大根の汁と蜂蜜を入れたものを作ってきてくれました。
そのおかげか、いつもは長引く喉の痛みも次の日にはひいていたのでびっくりしたのを覚えています。
ただ子供だったので「あまり美味しくない・・・」と思いながら飲んだのも良い思い出です。
薬と思って飲めば全然大丈夫なので是非思い出したら試してみて下さいね。
これらの方法を組み合わせて利用することで、大根の栄養を効率的に摂ることができます。
また、季節や料理に合わせて柔軟にアレンジしてみると、飽きずに取り入れることができます。
まとめ
大根は見た目より栄養満点の野菜であることが分かりました。
ビタミンCや食物繊維、カリウムが豊富で、特に葉っぱにはビタミンAや鉄も。
薬膳的にも大根は気の巡りを良くし、胃腸の調子を整えるなど様々な働きがあります。
効果的な食べ方は、生で皮ごと食べる、蒸す、味噌汁やスープに入れるなど。生の大根は体を冷やす作用もあるため、冷えが気になる方は生ではなく加熱して食べるようにしましょう!
保存は新鮮なものを選び、冷蔵庫で1週間程度がベストです。
これらを組み合わせて、大根の栄養を効率的に摂取し、季節や料理に合わせたアレンジで楽しみましょう。