春から初夏にかけてよく出回るアスパラガス。
この時期には1日に5~10cmも成長するほどパワフルな野菜です。そんなパワフルで私たちの体にも良い影響を与えてくれそうなアスパラガスの栄養と薬膳的効能、調理法について書いていきたいと思います。
アスパラガスについて
◉グリーンアスパラガス
一般的に私たちがスーパーで買うもので、日光に当てて20cmほどに成長させた緑色のアスパラガスです。
一年中出回りますが、一番味が良いのが5月~7月です。
独特の香りと歯ざわりが良いです。
サラダや炒め物などに使用されることが多いです。
◉ホワイトアスパラガス
太陽の光を遮って育てたアスパラで名前通り、白いアスパラガスです。
グリーンアスパラとは栄養も変わってきます。
フランスでは春の野菜として有名ですが、傷みやすいので日本では缶詰などがあります。
一般的ではないにせよ、最近では輸入ものや国産の生のアホワイトアスパラの販売も増えつつあります。
◉紫アスパラガス
一般的にはほぼ出回らない穂先が紫色のアスパラガス。
地上に顔を出した所で収穫されるため穂先が紫色を帯びていて、味はホワイトアスパラよりも美味しいと言われています。フランスから少量だけ輸入されています。
アスパラの栄養素
アスパラは細い見た目ですが、すごいパワーを持った野菜です。ほとんどが水分でカロリーも低いので一見栄養が無さそうですが、実はビタミンやミネラルが豊富で栄養価の高い優秀な野菜です。
アスパラギン酸
アスパラガスに多く含まれるアミノ酸の一種で、名前の由来もアスパラガスからきています。
エネルギー源として利用されやすいアミノ酸で、主に、疲労回復作用があります。
栄養ドリンクに含まれているので、なんとなくでも聞いたことある人がいると思います。
ルチン
ポリフェノールの一種で血管強化作用や抗酸化作用、抗アレルギー作用があります。
心臓疾患、動脈硬化、高血圧などの生活習慣病の予防に役立つと言われています。
またルチンは穂先に多く含まれています。
葉酸
葉酸はビタミンB群の水溶性ビタミンで妊婦さんには欠かせない成分で、赤ちゃんの発育に関わります。ビタミンB12とともに赤血球を作るので「造血のビタミン」と言われています。
βーカロテン
体内に吸収され、のちにビタミンAに変換される。
緑黄色野菜に多く、強い抗酸化力をもち、脂質の酸化防止や免疫力強化、視力向上などが期待されます。
脂溶性なので油脂と一緒に摂取することで吸収率が高まります。
ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンでコラーゲンの生成に関わっています。
強い抗酸化作用で活性酸素を消去し体の酸化を防止します。
免疫力向上、がん予防などが期待されます。
体内に貯蔵できないので毎日の摂取が大切です。
アスパラガスの薬膳的効能
季節や体調によって食材を選び、組み合わせて料理を作るのが薬膳です。
では薬膳的にはどのような効能があるのか見てみましょう!
薬膳の基本についての説明は
薬膳とは?薬膳の基本を知ると一生自分の体に活かしていける!
をご覧ください。
性質:涼
味:苦・甘
帰経:肺・脾
春~初夏にかけての温かくなってきた時期にアスパラを摂ることで、体の余分な熱を取ることができます。
また、血を補い、血流の流れも良くし、潤いを全身に届けます。
代謝が良くなり、むくみを取ることにも繋がります。
口の渇きや、から咳、不眠にも良く、他には免疫力アップ、疲労回復効果があります。
アスパラガスの調理方法
皮をむく
アスパラガスを調理するには茎の下の方の皮がかたいので一本一本ピーラーなどで皮をむいてやる必要があります。
しかし急いでいるときなどはそんな時間もないと言う時は、アスパラの下の方をポキっと折って下さい。これは私が給食調理員として働いていた時に実際に使っていた方法です。
大量調理なのでアスパラを使った料理だと何百本とあるので硬い所をすべてピーラーでむいているだけで終わってしまいます。なので下の方を持って折ると柔らかい部分はしなるので折れず、硬い部分とで見事に分かれてくれるのでオススメです。しかし、硬い部分も皮さえむけば食べられるので時間のある時に皮をむいて食べたり、出汁に使うなどして利用してください。
きっと家庭ではそんなに食べることもないと思うので、ピーラーでむく方が無駄がなく良いと思います。
茹でる
アスパラの太さにもよりますが1分~1分30秒ほど塩を入れ茹でると美味しく仕上がります。
また、サラダなど色をキレイに見せたい料理の場合は、冷水にさらして色止めをして下さい。
蒸す
アスパラガスには水溶性の栄養素もあるので茹でるより蒸すことで栄養を逃がさず体に入れることができます。サッと茹でならそんなに栄養も逃げないのですが、レンチン蒸しならお湯を沸かす事なく簡単ではないでしょうか?
もちろん、蒸し器があれば他の野菜と一緒に蒸した料理にすることで彩りもよく、見た目も華やかでとても映えますね。
炒める
アスパラガスに含まれるβーカロテンは脂溶性なので油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。
肉や海鮮と一緒に炒めても美味しいですね!
加熱のしすぎはビタミンが減少してしまうので、炒め物の場合は最後の方に入れてサッと炒めましょう!
アスパラガスのオススメ簡単薬膳料理
薬膳料理っていうと、漢方薬を使った料理ってイメージですが、自分の体質や体調、季節、食材の効能を組み合わせることによって薬膳料理になります。
アスパラは「食べない方がいい」という人はほとんどいないので、アトピーさんも安心して使える食材です。
アスパラは揚げたりすることもありますが、アトピーの方は極力揚げ物は避けた方が炎症しにくいので調理法でも負担のないものを選びましょう。
◉アスパラガスのスープ
アスパラガスと玉ねぎをコンソメで煮て塩で味を調えて完成。
もしくはそれをミキサーなどにかけドロドロにし、豆乳を加えてもOK!
お腹に優しく消化にもいい一品。
豆乳を加えると濃厚クリーミーな感じになって満足感もでます。
濃厚こってりが好きなタイプは豆乳入りがオススメです。
(アトピーが悪化してる時は玉ねぎは無し、もしくは少量使用して下さい。コショウも悪化時は避けた方が良いので書いていません。)
◉アスパラガスとイカの炒め物
アスパラとイカを少量の油で炒めて塩(塩こうじでもOK)で味を調え、すりごまをかける。
イカには血を補う作用もあり、アスパラと合わせることで体の潤いがアップする一品になります。
そしてアスパラにもイカにも疲労回復パワーがあるので合わせることによって疲労回復薬膳になります。
お疲れの人は是非作ってみて下さい。
まとめ
細い見た目からは想像できないほどパワーを持ったアスパラガス。
皮むきは少し面倒ですが、調理時間は短くていいので使いやすい食材です。
なんと言っても栄養ドリンクにも含まれている栄養成分が入ってるので疲労回復にバッチリ。
ちょっとお疲れの時にアスパラを食べることによって早くに回復して、元気に過ごしましょう。
薬膳のハードルが少しでも下がると嬉しいです。